社会 

 

里山資本主義は今や保護しないと維持できないバイオマス発電に

 

2015-2-19 校正4/7


里山資本主義は、規制と補助金なしに成立しない


 昨日のNHKクローズアップ現代に「バイオチップの発電」を特集したものがあった。

 

ドイツはその手が進んでいる。そこでは、5000kWの発電でしか採算はとれない、という。その発電が行なわれる北海道下川町では、電気代が安くなったという。


 以前、里山資本主義の放送では、500kWの試行ケースだったのに、大きく様変わりしていた。しかも、薪から、バイオチップ(廃材を粉砕して細かくしたもの)に。資本主義らしく、進歩していた。これへの参入は全国30業者。

 が、岐阜では燃料のバイオチップがすでに不足している。5000kWは国内の木材の量では、1県に1つしか稼動できない、という。それを以前から使っていた製紙工場は、新たなバイオチップの消費の増加によって、確保できなくなり、輸入するはめに陥った。

 

 しかし、そんなもはや過当競争下にある名古屋周辺だけでも4-5つくらい新たに、バイオチップ発電設備が建設中。このままでは、バイオチップはほとんど輸入するしかないようだ。

 里山資本主義は、どうもバイオマス発電に対する過剰な幻想を人々に与え、参入過多になったようだ。

 この発電の先進国というドイツでは2800億円市場になっている、という。たいしたものだ。5000Kw発電は採算はそれしかとれないが、たくさんそんなところが作られ、発電資材の不足で破綻したそうだ。そのため、ドイツは小規模発電にさせた。そして、バイオチップの不足が生じないようにした。さらに、バイオマス発電は電力の買い上げ価格をあげて保護した。すると、ようやく木材チップの不足はなくなり、安定的した、という。

 結局、ドイツは2800億円規模となった。日本は森林面積が大きいから、もう少し大きくなり、4000億円くらいか。大きい市場というべきだろう。しかし、これは太陽光発電と同じで、保護しないと採算がとれない補助金づけ産業。里山資本主義とは、とてもじゃないが、いえない。

 

 それがNHKを見た私の結論である。

 

 もう結果を予測できる資本主義の市場である。このままでは、日本もドイツの轍を踏み、現況の5000kWの大型発電は破綻する可能性が大だ。

 

 ただ、4000億円は聞き捨てならない市場だ。それによって、山間部で仕事ができるなら、保護する価値はあるだろう。(資本主義は自立的で社会に面倒をみてもらってはいけないのだが、)。なぜなら、年収500万円くらいとして、8000人の雇用が生まれるからだ。林業のある村では、期待される。

 

 もうそろそろ、里山資本主義という過去の夢から覚めるべきだ。それは、保護(補助金)なしに、成立しない産業で、資本主義の自由市場にはなれなかったのだから。バイオマス発電の現実を受け入れるべきだ。


home

inserted by FC2 system