社会 

 

ポスト資本主義も資本主義

 

2015-1-20 校正4/7

 

資本主義は、終わっても資本主義


昨日、『新潮45 2015年2月号』(新潮社)を立ち読み。ここは、反アベノミクスのギルド。水野和夫に、藻谷浩介。経済学を使って攻めてくる。その反論。

中国バブル崩壊の日 資本主義の黄昏2/水野和夫
切り札は「参勤交代」と里山資本主義/養老孟司×藻谷浩介
を読んでみた。

 資本主義は終わらなくて、バージョンアップ
 彼らは、資本主義がドイツの重商主義政策で始まったものとし、市民や企業の自由活動からなる経済体制という。これは独占が生じて、個別企業の自由な活動ができなくなるから、独占禁止法を必要とする。

 また個人と企業活動だけでは、恐慌、格差の拡大が生じるから、それを国が是正して、貧者の救済、恐慌の防止などするのが、修正資本主義。

 経済成長がなくなって、資本主義は発展しなくなったから、終わっている、というのが水野氏の持論である。

 前に説明したが、彼は間違い。資本主義の反対語は、社会主義だ。社会主義とは統制経済をさす。資本主義では、個人や企業の自由活動が基本だ。社会主義は、それを奪って、国家のみが自由活動をする全体主義社会をさす。

 資本主義が終わると、社会主義になるしかない、という説は間違いだ。それは、個人や企業の自由活動を捨て、国家の命令に従うことだ。それは、人権に定められた集会結社の自由と個人の自由を捨てることだ。それら自由権をなくさないと、個人の自由な商業活動はおわらせることはできない。人類は今後、そんな人権の放棄はしない。よって、完全な社会主義にけっしてならない。

 人権は剥奪しないのが、多くの人々が理解する共通の未来だ。よって、それを奪うことによる成立する完全な社会主義はけっしてこない。つまり、個人や組織の自由は永遠に残るから、資本主義は終わらない。

 そもそも、人間は他人の意志で動くロボットではなく、自分自身の意思をもっている。社会主義のように国家の命令を聞くロボットに人間が完全になることは、不可能だ。人間個人の意思を排除しない限り、無理なのだ。社会主義は、ムーリーである。よって、資本主義=人間の個人の自由意思が集まって作られた社会なので、それは人類が存続する未来にまで永劫続く。

 単純な論理で、このように資本主義が終わらないことは証明した。

 では、水野氏が言う、資本主義の終わりとは何か?
 彼のいう、資本主義はいろいろあって、最初の資本主義、修正資本主義、新自由主義かもしれない。彼は、資本主義がポスト資本主義になる、という話を好む。彼は、資本主義の枠内で、特殊な資本主義は終わり、次のまた別のポスト資本主義になるだろう、と言う。

 どういうことか?
 広い意味での資本主義は終わらない。が、特殊な資本主義は終わる。そして、ポスト資本主義(資本主義ではない体制でなく、資本主義の一種)になる、といいたいのだろう。彼は社会主義になるとは言ってなかったはずなので。

 資本主義と社会主義とは、そもそも組織論上の区別だ。自由主義と全体主義と理解するのが正しい。全体主義に人類はならないから、社会主義にもならなくて、いつまでも資本主義のまま発展する。

 彼は今の資本主義が終わったら、どんな資本主義が次に登場すると考えているのか? 彼の言う、ポスト資本主義は、どんな資本主義なのだろうか? 彼はそれを描くことはできない。

 彼は、一方で、経済成長至上主義を批判している。経済成長は、日本が第一に目指すべきものかは、疑問という。経済を成長させなくても、日本がよくなる道がある、と彼は言いたいらしい。しかし、そんなものはない。

 彼は、経済を指標にして、その成長を目指す日本政府のやり方がおかしい、と言っているのだろう。が、社会は発展しなければ、停滞、もしくは退行する。それは不況を意味する。民主党時代にさんざん経験したあの先の見えない暗い時代だ。

 経済で発展を目指すこと。私には現時点はそれが一番正解と思える。不況がなくなり、好景気にするのが、首相の当面の課題だ。それを強力にすすめないと、日本は失業の増大や暮らしの低下から回復しない。

 彼は、アベノミクスの経済成長第一主義を否定する。まさか彼は不況を目指すべきといいたいのだろうか? 経済、経済と政府が言うな、という意味だろうか。経済は聞き飽きたからか? 『福祉』という言葉がいいのか? 『日本農業の再興』か? 経済学者が世相に過剰に敏感反応して、政治スローガンにまで口を出すのは本分を超えている、と思う。

 ただ、社会の進歩を表す指標としては、マネー(経済学)は機能しなくなっている、というのは、確かにある。社会は発展しても、経済成長は達成できてない先進国は多々あるからだ。彼は、それを言いたいのかもしれない。それなら、アベノミクスとは関係のないところで、純粋にやればよい。アベノミクスと絡める必要はないだろう。

 アベノミクスは実は、その点でも、挑戦して、解決策を実施している。国家による意図的なインフレ政策という手法で。それをも、世界はみていることをお忘れなく。

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