シナリオ破防法適用


破防法適用審査請求までの道筋


 2003年の2月、電波犯罪が報道された。電波を使った新たな犯罪だ。全国の党員を使って、犯罪用無線機を配布して、六年かけて犯罪を拡大させ、推定200万人にのぼる巨大犯罪だったことが、しだいに浮かび上がる。末端の犯罪者の、犯罪電波器機はある左翼組織から受け取ったものだという証言から電波機器の流通経路が明らかになるにつれて、左翼組織の組織的犯罪が濃厚となる。ついに、その本部に、捜索令状が出され、強制捜査が実行された。幹部が、次々と逮捕される。政府は、被害者数が数万に及び、彼らの人権が数年にわたって、侵害され続けたことを深刻に受け止め、オウムサリン事件を超える戦後最大のこの組織犯罪に対して、とうとう破防法を適用させることを決定する。

 首相『民間会社なら、政府命令で解散だ。K党を何も罰しないでは、世論が納得しない。破防法適用しかない。』

破防法審査の行方

破防法は戦後一度も適用されてはない法律ではなかった。戦後まもなくのことだが個人には適用されていた。彼らの組織幹部六名ほどが、破防法の適用の個人対象として、適用された。

 今回の破防法の適用は、やむおえぬという意見が大半を占めた。あまりの電波犯罪の巨大性が、その根拠だった。

が、マスコミの欧米帰りの世界市民派と、国内主義派とは、意見が分かれた。

欧米滞在の長い世界市民派は、
『オウム事件は、実行部隊十名弱。被害者約9000人。その犯罪規模で、アメリカは、テロ団体と指定、資金規正など監視対象にした。フランスやイギリスでもオウムはテロ団体扱いを受ける。K党の電波犯罪は、党員四十万人、さらに、その家族や近所を含め、約300〜500万人に及ぶ巨大犯罪。被害者数も推定、数十万人に上る。これほどの犯罪は、破防法適用して、K党を解散させるしか、解決されない。まさか、この六年に及ぶ巨大組織犯罪を、K党の幹部の個人の所業にはできないだろう。組織的犯罪として、罰する以外には、解決の方法はない。何十万人もの人が、思想によって、電波を浴びせられ、苦痛を被り、盗聴されプライバシーもなかった。マインドコントロールをかけて、言論の自由さえ奪おうとした。K党が何年にもわたり市民の人権を奪った罪の大きさは、はかりしれない。欧米なら、当然、K党は解散だ。』

国内主義派は、
『K党を罰しないといけないことはわかる。K党幹部の個人犯罪に帰するだけで、無理なこともわかる。組織犯罪ということは、自明だ。そんなところで争ってはいない。組織犯罪として罰しなくてはならないことは、当然わかっている。が、しかしだ。組織を罰するために、破防法を適用するのは、どうも・・・。破防法は言論弾圧につながる。破防法だけはだめだ。』

西欧各国の世論は、明瞭だった。
『日本発のテロ組織は、2件目だ。オウム以後の最大の組織テロが発生した。日本が厳しく取り締まって、わが国に同様の犯罪が、輸出されないように、してほしいものだ。日本の世論は、犯罪組織の取り締まりに反対しているようだが、犯罪者の人権を守ることよりも、その犯罪によって人権を奪われた被害者たちに、もっと関心を寄せるべきだ。人権を侵害するような前近代的で野蛮な組織は、つぶさなくてはならない。テロとの闘いで、日本が例外的な立場であってはならない。』

適用申請却下
 結局、イデオロギー目的で、保守の思想家や政治家、さらには宗教団体を平気で電波で痛めつけ、言論の自由を侵害し続けてきた左翼犯罪組織に対して、言論の自由の名、結社の自由の名でもって擁護して、破防法の適用の反対するには、矛盾があった。だから、人権を侵害した者には当然の報いがあり、その人権も制限されなくてはならなかった。

おおもめにもめて、日本を二分する大論争が巻き起こったが、わずかに適用を反対する審査委員が上回り、破防法の適用は却下された。代わりに、諸外国のテロ輸出の禁じる圧力により、ようやく、国内のテロ組織を取り締まる法律という妥協案が制定され、K党はそれによって解散させられ、監視されることになった。

破防法は、またもやその名のごとく破れた。

02-5-28 校正 2015/4/17

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