社会 

 

格差解消(正社員と非正規)を公約にしていた安倍政権
2014-12-29


格差論に情報操作がみられる
 1-2年前は、老人が金持ちで若者が貧乏だった。格差は老人対若者だった。東京対地方という格差も大きかった。それが、今や忘れ去られて、議論されるのはもっぱら「資本家対庶民」、「正社員対派遣・アルバイトなど非正規」という構図。いつのまにか、格差論が民主党や労働団体の都合のよいものに、すりかわっていた。

 「資本家と庶民」の格差は、アベノミクスで恩恵を受けるのは、株を売買できる小金持ちで、庶民は物価高で苦しい、という民主党など左派の反アベノミクス論の論拠の一つ。「正社員と非正規」の格差は、正社員は保障が手厚く、非正規は給料が低く生活が苦しい、という労働団体の考え。これは「派遣法改正」を阻止するキャンペーンの中で、組織的に叫ばれる。

 世論は社会問題を正しく認識すべきである。一部、圧力団体(労働団体、政党)によって、過度に一面が強調されてはいけない。そんな偏見を信じると、人々の認識がゆがむ。すると、その社会問題を正しく解決できなくなる。問題は正しく認識すると、正しく解決できる。それが一番よい。

 格差論は現在、困窮している若者層、ワーキングプア、シングルマザーをどう救済するか、ということに焦点が移った。これは社会問題である。誰々の主張だから、偏っているということはない。社会問題には、真摯に向き合わなくてはいけない。

 これは、資本主義が原因という発想は、論点が極めてずれている。資本主義を改良などしていたら、何年とかかる。もっと手っ取り早く解決することを考えなくてはいけない。

 アベノミクスをやめたら、解決することもない。マクロ的には景気をよくしていかなくてはいけない。現在、アベノミクスで失業率は下がっている。それは非正規だろうが正社員だろうが、関係なく、路頭に迷う人が減っていることを意味する。この流れは止めてはいけない。

 解決法は、それら貧困層に焦点を当てて、彼らを救済することだ。資本主義やアベノミクスというより大きな構造的な問題からくる貧困ではないからだ。問題は限定しなくてはいけない。彼らが貧困であること。給料が低いこと。行政の支援策が少ないこと(貧困の範囲を広げること)。それを解決すればよい。

 労働団体や民主党の反アベノミクス・キャンペーンに、すぐ危機感をいだくのは、社会問題を正しく理解してないからだ。すぐにそんなのに利用されてしまう。これは貧困の救済だから、経済システムの問題だが、資本主義の問題ではない。資本主義の中で解決されるものだからだ。社会保障(社会福祉)の問題である。そういうアプローチをしていかなくてはいけない。

 以前の格差はどうなった?
 老人と若者の格差があった。貧乏なのは若者だった。これは、老人のお金を若者に回すという解決法がとられた。自民党は、この格差を解消するために、老人の貯金が若者に流れるように、緊急に処方した。相続税を改正した。生前贈与もしやすくした。孫の教育費のために、孫に教育資金を贈与できるようにした。それで、老人の金が子供に回るようにした。これでどう状況が改善されたか。それは報告書待ちだ。

 ただ、これだけでは不十分だ。根本的に、若者の職場や給料が高くならないと、収入は一時的なものにとどまる。現在、残った格差(ワーキングプア、シングルマザー)などの対策が急務である。

 自民党は『非正規と正社員の格差』の解消に動きだした
 自民は現在言われている格差について、公約で以下の解決法を示し、動いている。自民が経営者側に立ち、何もしてないように思っている人は、野党の選挙キャンペーンにだまされている。自民党は左派が言うような無策な政党ではなく、国家の問題に果敢に立ち向かう保守である。公約に解決法は書かれていたのである。

 『パートタイム労働者、契約社員、派遣労働者等の雇用形態で働いていて、正規雇用への転換を希望する方々のキャリアアップ等を図り、正規雇用への転換を果断に進めます(正社員実現加速プロジェクトの推進)。』

 『長時間労働を美徳とする働き方を見直すことにより、メリハリの効いた働き方を実現するとともに、仕事と家庭の両立支援を推進し、一人ひとりがワーク・ライフ・バランスを実現できるようにします。』

 『未来を担う若者全員が希望する仕事につけることを目指し、就職活動から入社後までの一貫した支援・若者を応援する企業の支援、ジョブカードの活用推進のための法的整備を行います。』

自民党重点政策 2014年度

 正社員を増やすよう諸策を講じるようだ。若干、具体的な解決策、実施する制度が不明確だ。が、積極的に政府は、非正規社員を減らし、正社員にするよう、取り組む。それを、公約で明言した。

 これらを実現させて、どこまで格差が解消されるか。自民を与党として国民は選んだ。国民は、自民の政治手腕を後押ししたり、信認したり、見守ることになる。なお、これら解決策を実施して、状況が改善された時は、自民はうまくやったといえる。不十分な時は、さらなる改善を求めることになるだろう。
 自民党は、何ヶ月で実効的な制度を実施してくれるだろうか。楽しみである。

 

 資料 格差大国・アメリカの後を追う日本 (日経サイトより)

 

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