短編  行方不明者のレーダー捜索


レーダー捜索

とある公団団地の2階。四人家族のアパート。二十代の主婦山下なお子が息子のすすむ4歳と二人で家にいる。もう午後5時、夕食の時間。娘は美鈴、小学生三年生。

母「美鈴ちゃんが、まだ家に帰ってこないわ?心配だわ。もう、5時なのよ。どこにいったのかしら。」

しばらく、夕食の準備をしていて、母「いったいどこにいってんの?美鈴は!!」と怒っている。

母「こんなに遅くなって、帰ってきたら、きつくしかってやらないといけないわ。」

まだ日が沈んでいない。子供の遊ぶ時間としては遅くはない。

午後六時。日が暮れた。なお子は心配になって、すすむを家に置いて、玄関から美鈴を探しに出てゆく。近所を探して、みつからず、すぐに戻ってきて、なお子は、美鈴の友達の家に電話をかける。

「あもちゃんのママ?私は、美鈴のママ。美鈴そこで遊んでない?家にまだ帰っていないの。」

あもちゃんのママ「今日はきてないわ。」

なお子は、他にも美鈴の友達の家に電話したが、美鈴はみつからなかった。

6時半頃とうとう学校に電話する。「なお子です。美鈴は、まだ家に帰ってきません。学校の校庭であそんでいませんか?一度、家に帰って、ランドセルを置いて出ていったのですが。」

残っていた教員「校庭にはもう誰もいませんよ。担当教諭はもう帰っていますが、電話してみます。」

午後6時40分に担当教諭から電話がくる。

担当教諭「もしもし、山下さんのお宅ですか。美鈴さんがまだ家に帰っていないのですね。」

なお子「もしもし、いつもお世話になっている美鈴の母のなお子です。美鈴がまだ帰っていないのです。今日、何か学校でありませんでしたか?」

担当教諭「いえ、何もありませんが。いつも通り、帰宅してゆきましたよ。友達に電話して見た人がいないか探して見ます。」

 なお子「是非よろしくお願いします。」

 午後6時50分担当教諭

 「友達のうちに電話してきいたのですが、みんな今日は遊んでないと言っていました。わかりませんでした。」

 なお子「そうですか。ありがとうございます。どこに行ったのでしょう。もしも誘拐だったら・・・」

午後7時まだ、美鈴は帰ってこない。なお子は、夫に電話して、「美鈴が帰らないのよ。警察にとどけましょうか。早く帰ってきてよ。」

夫「いや、忙しいんだ。警察に、捜索願いを出してみろよ。今はレーダーで人を捜索できるんだから、たちどころに見つけ出してくれるよ。」

なお子「えっ?そうなの?早く電話しなくちゃ。」

午後7時10分、なお子が警察に電話する。

「もしも、もしもし、娘の美鈴がいなくなったのです。探してください!!」

警察の中央の電話情報センターの警官

「まあまあおちついてください。あなたは誰ですか?住所と氏名を言ってください。」

なお子「私は、山下なお子です。三鷹市北町に住んでいます。娘の美鈴が午後3時に遊びにいったきり、まだ家に帰ってこないのです。」

警官「捜索のご依頼ですね。しばらくおまちください。」

警察は、あいかわらず、時間がかかり、対応は遅い。

十五秒ほどしてから「山下美鈴さんが、いなくなったのですね。あなたは、母親ですか?親権のある人の捜索依頼ならば、すぐに当方の探査レーダーによって、すぐに探すことが可能ですが?」

なお子「はい、母親です。」

警官「美鈴さんの写真は、ありませんか?それを、下のアドレスに送ってください。」

なお子は、デジカメをもっていなかった。「私は、デジカメをもっていません。」

警官「心配なさらなくても結構ですよ。じゃ、写真はありますね。それを用意しておいてください。いますぐに警官が、そちらの家にとりにゆきます。」

なお子「何分くらいかかりますか?」

警官「まあ10分以内にはつくでしょう。写真をわたせば、それをすぐに探知器にかけることができます。」

なお子「本当にみつけることができるのですか?」

警官「心配はいりません。人工衛星を用いたレーダー探知システムですから、日本全国どこにいても、本人の写真があれば、五秒もかからずみつけることができます。」

なお子「お願いします。はやく美鈴をみつけてください。」

7時15分。 誘拐の可能性があるから、目立たないように私服刑事が5分できた。なお子は、美鈴の写真を渡した。刑事は、それをスキャナーで取り込み、携帯電話で警察本部に送る。

警察の本部は、それを関東地区管轄の人工衛星のレーダー探知器にかけ、捜索した。

写真情報を入力してから0.004秒後に美鈴らしき波動が発見された。今回は山下なお子の家から、二十キロ以内を探査した。なお子の家から西に1.8`離れた住宅にいた。上空のレーダーからみると元気に動き回っている。安全だろうと判断された。

7時25分。写真を渡してからわずか10分後、なお子のいる地区の警察署に無線が入った。

「山下美鈴さんは、北4丁目の3番地の団地にいます。至急、そこに向かってください。」

なお子のところにいる刑事の携帯電話がなった。

「こちら、三鷹警察署。山下美鈴さんは、北4丁目3番地の団地にいます。確認してください。」

刑事「大丈夫です。山下さん。美鈴さんは、みつかりましたよ。みつかった場所は、北4丁目3番地の団地です。何か思い当たりませんか?」

なお子、思い出す。「あっ。今日は、美鈴は、おばあちゃんちに預けたのだった。」

2003/03/03編集 校正 2015/4/20

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