教育論 道徳教育

 

 道徳教育論

 

 

道徳教育4  2015-1-12 校正 3/17

 

 道徳教育は軍国主義教育ではないことの証明


 安倍首相が道徳教育を科目にすることは 適時で正しい:決断である。いじめは止まらない。大人の犯罪も増加(統計にのらない地下犯罪はかなり増えた)する。国民の規律の低下がひどくなった。もう一度、国民は遵法精神や、友人関係を正しく学び直す必要がある。

 だが、日教組や左翼団体、左派メディアはこれに反対する。左翼は何も解決策を示さないで、反対ばかりする。実に、危機感が薄く、無責任だ。いじめの蔓延は道徳否定、反政府運動という無秩序の推奨、という日教組教育が引き起こしたものだが。

 彼らの反対は的はずれだ。彼らの反対の根拠は、「道徳は軍国主義教育だ。」に集約される。が、実際の道徳・倫理は軍国主義教育ではない。これは明々白々である。

 

 たとえば、道徳教育で教える愛や信頼、友情や尊敬生命への畏敬は、軍事国家が大切にする理念ではない。軍人の心得は、命令厳守、上官への服従、頑強なこと、勇気、愛国心、国を守るために命を投げ出す心などだ。

 

 両者はまったく異なる。軍国主義教育は、軍人という職業の心得を教えるものだ。道徳教育は精神一般を教えるものだ。道徳教育は軍国主義教育ではない。

 詳しくみよう。彼ら左翼が恐れる「軍国主義教育」を明らかにしよう。

 終戦間近に軍部が教育に介入した。「国民科」でこんなことが教えられた。

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修身
衷心より皇国国防の責務を自覚せしめ皇国の威徳を顕揚すべき基礎的資質を啓培す、特に建国の精神皇国の伝統を基とし其支な事変の成果に鑑み戦時下国民の道義乃取材す軍事上取材すべき主要なる事項を述ぶれば下表の如し

第一期
 軍人と忠義、観兵式
第二期
 神風(天佑の神助)、湊川の戦(軍神教材)、軍用動物の愛護、武運長久の祈り(銃後の誠心)、出征、英霊に対する態度、白衣の勇士に対する態度、防諜
第三期
 明治天皇(大本営)、御府、靖国神社、軍人勅諭五箇条(軍人精神)、楠 正成(軍神教材)、広瀬中佐(軍神教材)、乃木大将(軍神教材)、皇軍乃国是皆兵、軍人援護、負けじ魂、必勝の信念、団結、遺髪(遺骨も還らざる覚悟)、困苦欠乏(大別山突破)、責任(佐久間艇長)、名を惜む、応召時の心得、出征軍人の妻、最後の通信(自爆精神)、防空、公共施設の愛護、交通道徳

一、忠節、礼儀、武勇、信義、質素、誠の精神は毎学年に之を織り込む、特に献身奉公を重点とす
二、聖戦の本義を明確にす
三、忠孝一本の事例を多くす
四、利を計らざる精神全体を思い中心に帰一する精神を強調す
五、服従の精神は常に之を培養す
六、精潔整頓、体力増強等衛星観念の向上を図る
七、科学の精神の培養に励む

第四期
軍人勅諭全文、在郷軍人勅諭、聖戦の本義と皇軍の威徳、軍紀、戦勝と諸兵の協同、率先身弓行、武士の風尚(日本武士道)、在郷軍人会の趣旨、徴兵検査の心得、戦時国民生活、国家総力戦、銃後夫人の覚悟。

『「国民学校教科書」研究ノート』の 国民化の指導要領から

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 これは戦時中の小学校で教えられたものだ。左翼はこれを軍国主義教育とする。そして、これが安倍首相のいう「道徳」だとみなし、反対する。

 冷静に考えよう。上記の国民科の教育は、道徳だろうか? どうみても兵士を育成するための職業教育である。道徳は、その中にあるとしても。これは軍部が従順な軍人を学校で育成するように、求めて作られたものだ。「特に献身奉公を重点とす」とあり、国に尽くすことが叩き込まれる。道徳とはいえない。

 当然、日本の子供達に今後行なわれる道徳教育はこんな戦時下の軍事的なものでない。

 軍神をあがめる教育は、道徳で行われない

 道徳では偉人を精神の目標とする。が、戦中は「軍神」を崇める。その軍神は楠正成、乃木、広瀬中佐である。乃木は、旅順で大量の戦死者を出し、軍略は劣る。彼は天皇の教育係をしたので、精神的には落着いたものがあったのだろう。が、乃木を崇めたのでは、旅順の再現ではないか。

 楠正成は知略に優れる武将で、少数で大軍を打ち破った。が、織田信長や豊臣秀吉、黒田かんべえや竹中はんべえもいるのに、天皇を守っただけでマイナーである。中国では、孫子や孔明が名高い。西洋で軍神といえばミカエル。人はナポレオンか。格が違う。理想の精神を教えているようにはみえない。

 また「出征」、「応召時の心得」、「出征軍人の妻」、「遺髪」など、軍人になる前の学徒の心得や、兵士を出した家族の心のあり方だ。こういうのは、職業教育の一部で、防衛大学、自衛隊で教わるかもしれないが、道徳では教えない。

 それから、「遺髪(遺骨も還らざる覚悟)」、「名を惜む」、「最後の通信(自爆精神)」、「銃後夫人の覚悟」は、戦死にかかわる心構えで、敗戦濃厚となっている当時の雰囲気を感じさせる。だが、こういうのも、道徳教育のテーマではない。

 これは軍人教育としては欠陥がある。兵学、孫子の兵法を学ぶとき、軍事的な作戦を自ら立てる能力を高めることが求められる。が、この兵士育成プログラムにはそれが決定的に欠ける。ただ、そういう自主的な才能が避けられているのは、命令に忠実な兵士を育成するためであろう。軍人教育としても、この戦時の教育は質があまりよくない。

 こういう軍人を育成する職業教育を、道徳と呼んでよいのだろうか?

確かに、これら戦争中に、兵士として、兵士の家族として、どういう精神的あり方がよいかが、説かれている。しかし、国民が戦争にどう国民が対処するか、兵士として振舞うか、それら戦時対応に特化している。これは、道徳教育ではない。軍人教育である。

 

 左翼は、道徳教育が復活すると、こんな軍人育成のための科目ができる、というおかしな主張をする。それは、間違いである。道徳教育は、こんな自衛隊でも行われない戦中の軍人教育ではないからだ。よって、左翼が道徳教育に反対する理由は、世間では通らない。

 

 こんな軍事教育が復活する見込みも可能性もないからだ。

 左翼は、正しくはこう反対すべきである。「軍人育成の教育、そんな職業軍人を育成するような軍国主義教育に反対する。」、と。実際、左翼が反対しているのは、道徳教育ではなく、兵士育成教育だからだ。つまり、本質的にみると、彼らは、道徳教育自体には、反対していない。

 彼らの主張は道徳教育に反対する理由にならない。

 現在、日本国民の一部には、遵法精神が希薄で犯罪を常習し、規律がなく、すぐに反政府運動を行い、すぐに暴れ、すぐに汚くちらかすような野蛮な人がいる。左翼の一部にはかなりいる。若者をそんな人間にしないために、国は教育によって、倫理観を正して身につかせてゆかなくてはならない。道徳教育の再興は急務である。

 参考、道徳教育とはこういう代物。軍国主義教育とは天と地ほどにかけ離れている。


資料

「私たちの道徳」活用のための指導資料(小学校)

道徳 指導要領 第五学年及び、第六学年

主として自分自身に関すること
一、生活習慣の大切さを知り、自分の生活を見直し、節度を守り、節制を心掛ける
二、より高い目標を立てて、希望と勇気をもってくじけないで努力する。
三、自由を大切にし、自律的で責任のある行動をする。
四、誠実に、明るい心で楽しく生活する。
五、真理を大切にし、進んで新しいものを求め、工夫して生活をよりよくする。
六、自分の特徴を知って、悪い所を改め、よい所を積極的に伸ばす

主として、他の人とのかかわりに関すること
一、時と場をわきまえて、礼儀正しく真心をもって接する。
二、だれに対しても思いやりの心をもち、相手の立場に立って親切にする。
三、互いに信頼し、学び合って友情を深め、男女仲よく協力し助け合う。
四、謙虚な心をもち、広い心で自分と異なる意見や立場を大切にする。
五、日々の生活が人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し、それにこたえる。

主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること
一、生命がかけがえのないものであることを知り、自他の生命を尊重する。
二、自然の偉大さを知り、自然環境を大切にする。
三、美しいものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ。

主として集団や社会とのかかわりに関すること
一、公徳心をもって法やきまりを守り、自他の権利を大切にし進んで義務を果たす。
二、誰に対しても差別をすることや偏見をもつことなく、公正、公平にし、正義の実現に努める。
三、身近なな集団に進んで参加し、自分の役割を自覚し、協力して主体的に責任を果たす。
四、働くことの意義を理解し、社会に奉仕する喜びを知って公共のために役に立つことをする。
五、父母、祖父母を敬愛し、家族の幸せを求めて、進んで役に立つことをする。
六、先生や学校の人々への敬愛を深め、みんなで協力し合いよりよい校風をつくる。
七、郷土やわが国の伝統と文化を大切にし、先人の努力を知り、郷土や国を愛する心をもつ。
八、外国の人々や文化を大切にする心をもち、日本人として自覚をもって世界の人々と親善に努める。

 道徳教育 指導要領 文部省 より。


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