発達心理 developmental psychology

 

 社会思想統合理論

 

社会思想の終焉1 社会思想は成長を促せない  (2015-2-2,2017-7-21)

 

社会イデオロギーの終焉

 現在、多くの人々が気づく。社会イデオロギーの影響力が低下したことを。誰もが社会運動に熱中した時代はもう過去のものとなった。いまや、誰も理想社会を目指して、人生を捧げない。数多くの社会理念がかつての魅力を失った。1つ目は、「人権」。2つ目は「自由と民主主義」。3つ目は「貨幣経済」である。それらにかげりがみえる。4つ目の「資本主義社会」はいまだ進歩し続ける。5つ目の「共産主義」はすでに死んで、新たに国家で実現する者はいない。

 

 人権は完成しつつある
 「人権が弾圧されない社会はすばらしい。」と1970年代に思われていた。人々から差別がなくなる。そんな世の中にしたい。人権社会では、人々は人間としての価値を偏見と差別なく認められ、自由に活動できる。そこは活況あふれる理想郷。かつては誰もがそう夢見た。しかし、いまや人権は日本の隅々にまで浸透した。それがゆきすぎ、人権の過剰保護が問題にされるくらいだ。人権は整った。もはや新たに制定する制度でもなく、変革の理念ではない。ただ、まだ少しやり残しがある。貧困が先進国日本に見られる。個人の生活保障はまだ完全ではない。あと残すは一つ、全国民の経済保障、つまり、ベーシックインカムの制定だ。そこで人権はほぼ完成して、終わる。

 

 自由と民主主義は世を救えないのか?

 「民主主義と自由こそが人民を幸福にする。」 これはアメリカのイデオロギーである。多くの日本人は民主化こそが世界を救う、と信じてきた。彼らは世界の独裁国家、共産独裁を倒し、民主主義と自由と同時に資本主義を広めてきた。1991年にソ連は倒壊、東欧諸国も民主化した。それによって、世界は平和になった。諸悪の根源、衰退しつつあった反民主主義の権化--共産圏は破綻して、民主化して、自由主義国の仲間入りを果たし、発展する方向に歩みだした。

 

 自由がいまだない民主化すべき国は中国、北朝鮮、ベトナム、キューバといくつか残る。が、民主化はいまだに一部悪辣な独裁国家の改革に必要なもののの、それら遅れた共産軍事独裁国家の改革こそが世界を大きく進歩させるものではない。自由の効力は低下している。

 経済の成長神話が・・・
 自由社会では社会が永遠に発展する。が、経済学上はそれが数字に表れなくなった。どの先進国も低成長に陥る。貨幣制度という旧来の価値観が社会の発展を促さないようにみえる。経済という指標を発展の目安にする限り、人類の成長は止まったようにみえる。

 それら旧来の経済学、貨幣経済の価値観では、新しい進歩がとらえられなくなってきた。

 

 資本主義はいまだ成長途上

 マルクスも所詮、悪辣な社会改革しか書いていない。自由主義も良き社会制度論の一つだ。私は、その社会改革全体が、もうゆきづのりつつある、と主張する。もちろん自由主義が正しい。資本主義の後に、国が民間の自由を奪い、個人の財産を没収して、社会主義になる、という後退は起きない。資本主義の最終局面では、自由が全ての階層に深く深く浸透する制度が国中にゆきわたる。その後に、自由をすべて国がとりあげて、社会主義になるという転換など来ない。なぜなら、自由を奪った社会は悲惨だ。資本主義は、そのまま新しい段階に進む。

 どちらも共産の全体主義、個人に自由を与える自由主義、両者は対立するが、同じ社会制度の思想である。社会制度が完備しつつある今、それら社会イデオロギーそのものが、限界にさしかかっている。マルクス(共産主義は)は1992年に完全に用済みとなった。その後は、自由主義国家の制度を改革させて、社会を進歩させてきた。が、その自由主義の最終的な発展においても、近いうちに終結するように、思える。社会制度の変革は、末葉になっており、それによって大きな革新は起きないからだ。

 2015年、社会制度を改革していたら、社会はよくなる、というこれまでの成長法則が通じなくなった。

 

 まとめ

 社会改革を目標とするあらゆる社会思想が、魅力ないものになりはじめている。特定の社会思想が時代を主導する原理になりえていない。

 これは社会イデオロギーがなんらか完成したから、生じた現象である。なぜなら成熟期(完成期)を経ない、と後退局面に突入しないからだ。

 人権は社会に広くゆきわたった。自由競争、個人・企業の自由は、およそできるものは制度にした。民主主義はまだ問題はあるものの、世界で広く行なわれる。つまり、社会制度は、大方整った。その改革では、人類そのものの大きな進歩にならないところまできたようだ。

 ようやく人類は、社会制度改革を完成させつつある。自由主義は共産主義に勝ったという栄誉を残して。もうすぐ地球は全国家が自由主義一色に染まるだろう。その後に、社会主義化することなく、人類は自由体制のまま、新たなテーマを手に入れるだろう。

 

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