漫才 盗聴日誌


盗聴日誌  完成度6%

 ねこちゃん「やあ、昨日、会社休んで、海外行ってだろ。」

 犬ちゃん「いや。市場調査だよ。」

 ねこちゃん「7時のニュースでお前が映ってたよ。」

 犬ちゃん「すまん。実は子供を連れて、避暑にサンパウロに行ってたよ。ほらっおみやげは、サンパウロ饅頭だ。」

 ねこちゃん「えっ、おみやげがほしくて追求したんじゃないよ。でもくれるなら、ありがとう。内緒にしておくよ。」

 犬ちゃん「あのほら、最近、電波を浴びせて、痛めつけることができるんだってな。うち、電気会社だし、その防御グッズ作らないか?」

 ねこちゃん「うちは、まっとうな会社だよ。そんな怪しいもの作らないよ。」

 犬ちゃん「被害者は推定百万人だってよ。ビッグな市場があるよ。」

 ねこちゃん「あれね、実はうちもその電波浴びせる無線機あるんだけど。」

 犬ちゃん「お前まさか?電波マニア?犯罪者か。」

 ねこちゃん「違うよ。でも正確に言えば、犯罪者かな。」

 犬ちゃん「おいおい。お主もわるよのお。でも、チャンス。それ今度もってこいよ。実験するから。」

 ねこちゃん「いいよ。でも、防御機器は、難しいよ。」

 犬ちゃん「なんで?」

 ねこちゃん「予算もないのにそんなことを始めるのは暴挙で会社は危機だから。暴挙危機。」

 犬ちゃん「まあね。で、無線機を何に使っているの?」

ねこちゃん「最近、近所の悪がきが娘に告白して、俺は許さんと、そいつに電波でマインドコントロールかけているんだけど。」

 犬ちゃん「ほお。どうやって?」

 ねこちゃん「まずは、電波で300メートル離れた家に住む悪がきに、催眠電波をかけた。」

 いぬちゃん「そんなことできるか。」

 ねこちゃん「簡単だよ。まずはアンテナをそいつの家に向けて、中にいるそいつをとらえる。スイッチぽんでね。」

 いぬちゃん「技術者らしく、わかりやすくいえよ。」

 ねこちゃん「だから、アンテナを向けて、そいつに電波を当てて、反射した輻射波から、悪がきの周波数を割り出す。それを搬送波にして、」

 犬ちゃん「わかった。もういい。」

 ねこちゃん「続けるよ。それにレム睡眠時に発生するアルファー波を、すいっちぽんで、加えて、そいつにその催眠電波を浴びせた。」

 犬ちゃん「あーそう。で、悪がきは?」

 ねこちゃん「悪がきはよく寝たよ。学校にもいけないくらいに。娘にも会わせない。まずは作戦成功。」

 犬ちゃん「害虫駆除だな。」

 ねこちゃん「しかしだ。困ったことに、ばれたんだ。」

 犬ちゃん「何が?」

 ねこちゃん「相手もさるもの、ウッキーだ。電波で眠らされたと気付いたんだ。そいつの友達が、ちくったんだよ。で、そいつが、仕返しに、電波飛ばしてきたよ。それで、毎日頭が痛くてしょうがない。」

 犬ちゃん「お前最近、バファリン飲んでたのはそのためか。」

 ねこちゃん「バファリンは気休めだよ。それでうちの家族は全員、そいつに怒った。娘と一緒に、こっちも反撃に出たのよ。パワーアップ。ちょっと心臓に電波を浴びせてあげたよ。」

 犬ちゃん「そんなことをしても大丈夫なのか。」

 ねこちゃん「いやいや、心臓発作でもしたら面白いんじゃないかなって。」

 犬ちゃん「それ殺人だよ。やめろよ。」

 ねこちゃん「そう、一度、そいつが心臓を押さえて、三十分ほど、苦しそうにしていたら、救急車がやってきて、ピーポーと連れて行ったよ。その時は、やばいと思ったね。」

 犬ちゃん「それ本当にやばいよ。」

 ねこちゃん「危ないからやめたよ。で、そいつを百姓のように扱うことにしたんだ。死んだらいやだから、生かさず殺さずってことに。」

 犬ちゃん「さすがお代官様、お主も悪よのお。で、今はどっち?」

 ねこちゃん「生きているよ。俺は、毎日頭痛いんだよ。俺の気持ちも考えろよ。」

 犬ちゃん「まあ、そいつが電波出してきたのは元はといえば、おまえが催眠電波を出したからだろ。」

 ねこちゃん「またそいつが怒り出して、強い頭痛電波を足してきたのさ。こっちも同じ電波出してやったけど。それで、頭が痛くてしょうがないのよ。」

 犬ちゃん「無線機もっていても、防御できないのか?」

 ねこちゃん「それができないから、困っているのよ。なんとかしてくれよ。で、家にいるとそいつが電波のせいで、頭痛いから、サンパウロに行ってたのよ。」

 犬ちゃん「お前、悪いガキに負けて逃げたままでいいのか。」

 ねこちゃん「反撃したよ。頭痛合戦だと頭痛がエスカレートするだけだから、今度は、盗聴して、そいつの秘密を近所にいいふらすことにした。悪ガキも頭痛しなかったら、頭痛返しはしてこないしな。」

 犬ちゃん「性根悪ぅ。悪口はなんて?」

 ねこちゃん「そいつのかあちゃんデーベーそ。」

 犬ちゃん「そんなん誰でも言えるだろ。」

 ねこちゃん「いやいや他にも、あいつが実は、白い錠剤を持ち歩いていることを警察にちくってやったよ。」

 犬ちゃん「中学生がありえないよ。」

 ねこちゃん「盗聴で知ったから事実だけど、バファリンだよ。」

 犬ちゃん「なんだ。警察にちくる意味ないじゃん。お前も悪がきに頭痛電波当てたのか?」

 ねこちゃん「ピンポーン。それでも、俺の娘を夜になると、娘に告白しようと考えているし、とうとう俺も怒って、直接、説得することにした。」

 犬ちゃん「どうやって?」

 ねこちゃん「言ってもいいのかな。語りかけ電波で、説得する。」

 犬ちゃん「何それ?」

 ねこちゃん「そいつの耳だけに聞こえるような電波があるんだよ。毎日、それで、そやつは耳をふさいでも、家の中にいるかぎり、俺の声が聞こえるんだ。毎日、やめろ悪がき、娘はお前のこと好きでもないんだよ。あきらめろ。と語りかけてやった。」

 犬ちゃん「お前の声を毎日聞かされるのはつらいねえ。」

 ねこちゃん「本当のことを教えてやっているのに、そいつはめげないんだよな。あきらめさせるためには、他の女を紹介するに限る。娘からネタをもらって、まずは、3組のB子ちゃんがお前のこと、好きだ。つきあってやれよ。と、毎日言ってやった。」

 犬ちゃん「おーそいつもてるな。」

 ねこちゃん「そいつは頑固なんだよ。いやだと言うんだよ。なんでだと思う?」

 犬ちゃん「3組のB子ちゃんに問題あるのか?」

 ねこちゃん「まあそうだな。3組のB子は、正直、夜になると音楽教室でいつもピアノひいているかわいい女の子で」

 犬ちゃん「なかなかいいじゃん。」

 ねこちゃん「実は幽霊なんだ。」

 犬ちゃん「幽霊とならつきあえないだろ。」

 ねこちゃん「そのがき、反抗的なんだよな。で、今度はネットの掲示板に、あいつの私生活をばらしてやった。」

 犬ちゃん「捕まるよ。もう面倒みられないよ。」

 ねこちゃん「そいつ生意気にもインターネットしていて、ペンネームがなんと「電波ジャック」」

 犬ちゃん「そのままだよ。」

ねこちゃん「電波ペットクラブってサイトを開いていて、飼育日誌を公開しているんだよ。」

犬ちゃん「何を飼っているわけ?」

 ねこちゃん「青い鷲に、番犬に、他にもいろいろいたけど。」

 犬ちゃん「動物の世話をするなんて、いい子じゃん。」

 ねこちゃん「ふぇっ。『今日は青鷲が泣いてうるさいので、大丈夫かい。頭が痛いのかい。頭をなでなでしてあげ、バファリンをあげました。』」

 犬ちゃん「なんで鳥にバファリンなんだ?」

 ねこちゃん「青鷲は俺のことさ。泣いてうるさいというのは、語りかけられてうるさいから。」

 犬ちゃん「なんだそういうことか。お前は、青鷲か。似てるよ。似てる。はっはっは。」

 ねこちゃん「頭をなでなでしたというのは、頭痛電波を飛ばしてやった、ということだよ。本当に、犯罪記録を公開するなんて、実に腹立たしい。」

 犬ちゃん「バファリンて、お前が飲んだのか。いや、ひどいやつだな。」

 猫ちゃん「俺の私生活をそうやってばらしているんだ。訴えてやろうと思っているけど、隠喩だし、ストーカーは難しいんだよな。」

 犬ちゃん「番犬って誰なんだ?」

 ねこちゃん「まあわかるよ。番犬日誌。『番犬はいつも、番犬のくせに遠出する。そこで、路上に落ちている酒を飲み、メス犬をあさって、深夜まで帰ってこない。』」

 犬ちゃん「番犬って、すけべなおやじのことだな。」

 ねこちゃん「あたり。しかし、これ以上読むと、腹が立つからやめるよ。」

 犬ちゃん「はっはあーん。番犬はお前の家族の誰かだろう。隠さずにもっと言えよ。」

 ねこちゃん「いいのか。続けるよ。番犬日誌『番犬は帰ってきたら酔っぱらっている。飼い主の俺にはどこで、どこでメス犬をあさったのかばれているのがわからない。』」

 犬ちゃん「浮気が子供にばれているわけか。まぬけなおやじだな。」

 ねこちゃん「『帰ってきたら、ワンコウのくせにいばって、俺に向かって吠える。うるさいので、眠らせる。』」

 犬ちゃん「わかったよ。眠らせるっていうのは催眠電波で眠らせることだな。しかし、子供に嫌われたおやじは最悪だな。」

 ねこちゃん「『番犬はすぐにすやすや寝る。ようやく処置完了。』」

 犬ちゃん「父親に電波浴びせるって、荒れた家庭だな。」

 ねこちゃん「『三日前。番犬が、どんなメス犬にほれ込んだのか、見に行く。』」

 犬ちゃん「執拗だね。浮気の相手がばれたら、終わりだよ。」

 ねこちゃん「『番犬を追尾して発見する。』」

 犬ちゃん「電波のレーダー機能だな。」

 ねこちゃん「『番犬は、のこのこと現れて、さざんかの咲く、木の下で、メス犬、ナツミに、みとれる。』」

 犬ちゃん「おいおい、さざんかって、駅前のパブだろ。俺行ったことあるよ。ナツミは美人だよな。」

 猫ちゃん「『これが番犬のだらしないその証拠の写真』」と片手から画像がはっきり見えない写真を見せる。

 犬ちゃん「俺だよー。やめてくれー。やめろー。あのがき。インターネットやってて部屋から出てこないと思ったら。家に帰ったら許さんぞ。」

 猫ちゃん「なっ、腹が立つだろう。」

 犬ちゃん「わかった。娘のこともおれが解決する。家に帰ったら、無線機とりあげて、徹底的に怒ってやる。ありがとう。教えてくれて。まだ家では他に誰もこのこと知らないよな。」

 猫ちゃん「まあまあ落ち着いて。立場わかってないね。浮気ばれてたら、息子にも勝てないよ。それに、奥さんも知ってるし。」

 犬ちゃん「ガーン。」

 猫ちゃん「番犬日誌続き。『その写真を番犬の妻犬に見せると、妻犬はその写真を即座に破って捨てた。そして泣いた。犬どうしなのに哀れだ。』」

 犬ちゃん「終わりだよ。どうしよう。妻は最近いやに怖いけど、それが原因だったのか。」

 猫ちゃん「『番犬の妻犬は、生まれ故郷に向かって悲しく吠えるので、鎖をほどいてやると、三日間いなくなった。』」

 犬ちゃん「急に実家に帰ったんだよ。まいったよ。」

 猫ちゃん「『僕はメス犬がかわいそうに思い、番犬に制裁を与えることにした。まずは番犬の首輪のひもをきつくして外出できなくした。』なんのことかわらないんだけど。」

 犬ちゃん「首輪じゃなくて、財布だよ。妻がこずかいを減らしたんだ。」

 猫ちゃん「あっそうか。『番犬を次は、24時間監視することにした。『番犬がなつみと考える度に、強い頭痛を与えることにした。パブロフの犬は成功するか?』」

 犬ちゃん「私が悪うございました。もう考えません。もう謝りに帰らなくては。」

 猫ちゃん「だめだよ。家に帰ったら、全部盗聴されるよ。防御しなくちゃ。」

 犬ちゃん「どうやって?」

 ねこちゃん「実は都庁で買った帽子をかぶると、盗聴されなくなるよ。盗聴防止。」


 犬ちゃん猫ちゃん「ありがとうございました。」

 03-9-1 校正 2015/4/20

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