漫才 取り調べ


試作品。完成度10パーセント。

猫ちゃん 「大阪は暑いね。」

へびしゃん 「ほんと、暑いわ。日中の気温が、36度7分。」

犬くん 「すげーなて、それ体温だろ。」

猫ちゃん 「今日も大阪からやってきました。」

へびしゃん 「3人あわせて、」

3人で 「犬猫ヘビーで〜〜す。」

へびしゃん 「昨日も、あまりに暑いから、近くのレーボーのきく建物に入ったら、何か御用ですかと青い制服を着た首が細く長い美人が、」

猫ちゃん 「いいねえ。」

へびしゃん 「笑顔をふりまきながら、青い瞳で私の目をのぞきこむ。その美しさにみとれていて、『少し休ませてください。』と言うと、にっこり『はいいいですよ。落とし物は奥、交通違反の納入は手前、その他は私に相談してください。』と実に親切。

犬くん 「婦人警官かい。」

へびしゃん 「そだけど、入り口で受付がたくさんあって、その前にソファがある。1人涼んでいたら、受付の警官が、俺のことをじろじろ見るんだ。」

犬くん 「警官ににらまれるっていやなもんだなあ。」

猫ちゃん 「俺はそんなことないよ。後ろめたいことなんにもないから。」

へびしゃん 「ほお。警官なのに、事務員だよ。」

犬くん 「外回りが暑いから、涼んでいるんだよ。」

猫ちゃん 「そんなさぼっているんじゃないよ。事務員でもいいじゃない。切符きる警官も、駅員ではなく警官だよ。」

へびしゃん 「まっそうだけど。きまりが悪いんで、階段を上がった。」

猫ちゃん 「勝手に署内をうろうろするなよ。」

へびしゃん 「警察署の探検だあ。上の階は、生活安全課があった。その廊下の奥になぜかイスがあって、誰もみていないから、そこに座った。」

猫ちゃん 「署内で休むなよ。」

へびしゃん 「すると向かいの部屋から声が聞こえてきた。」

へびしゃん (容疑者役) 「私はやってません。もう帰ってもいいですか。」

猫ちゃん (捜査員役) 「では、まず名前と住所を確認します。」

犬くん 「あなたは、電波三世のり子。生まれは柴又葛飾。それでいいですね。」

へびしゃん 「はい。私を何の容疑で、呼んだのですか?」

猫ちゃん 「軽犯罪法です。あなた交通違反の罰則金の支払いが3ヶ月も遅れてますよ。」

へびしゃん 「なんだ、そんなことか。それなら、口座教えてください。すぐに払いますから。」

猫ちゃん 「今すぐ、払ってください。5万円を今すぐに用意できますか。」

へびしゃん 「たったの五万円ですか。はい。これでいいですね。もう帰っていいですか。なんですか。私の万札をじろじろ上にすかして、みないでください。怪しくないですぅ。」

猫ちゃん 「実は、まだ容疑があります。」

へびしゃん 「別件逮捕だ。違法捜査だ。」

猫ちゃん 「落ちついてください。別件逮捕は合法です。君の出番だよ。カリスマ捜査官殿」

犬くん 「あなたは嘘をついている。あなたは結婚した時、処女と夫には言ったが、実は経験していた。」

へびしゃん 「セ、セクハラです。」

猫ちゃん 「口を慎め。彼はわが国の誇るエリート霊能捜査官だ。彼は難事件を99件依頼され、99件解決した。解決率99パーセント間違いはない。」

へびしゃん 「それは百%では? 嘘よ。当たりっこないわ。」

犬くん 「ふっ。私の透視に間違いはない。見える。見える。元彼は今、関東世田谷に住んでいる。車のディーラーをしている。」

へびしゃん 「そんな人知りません。」

犬くん 「いや、あなたの心を見ると、あなたは重大な秘密を隠している。その元彼には母親のいない1人息子がいます。あなたに関係ありますね?」

へびしゃん 「うっ。どうしてそこまで。」涙をとめどもなく流す。

犬くん 「それはあなたのお子様ですね。」

へびしゃん 「いいえ。違います。」

犬くん 「私に隠し事は通じません。十年前、長野の信州高原、伊達山荘の過ちですね。前の彼氏との間に出来た子供ですね。その子供は今、関東の武蔵野に彼と二人一緒に暮らしている。」

へびしゃん 「そんな子供知りません。」

猫ちゃん 「しらをきるのはもうやめたらどうですか。その子とあなたの指紋が一致しましたよ。」 「??」

猫ちゃん 「DNAが一致しましたよ。」

へびしゃん 「・・・はい。認めます。でも夫にだけは言わないでください。」

犬くん 「わかりました。そのかわりに何もかも白状してください。私達に嘘は通じません。あなたは夫とつきあう前に2人の彼氏がいましたね。もう1人は、外人です。それも言いましょうか? 彼は青森で銀行に勤めていた。遊ぶ金ほしさに、2億円を横領して、あなたに送金した。彼が白状しました。あなたはそのお金で、豪邸を買いましたね。もう白状したらどうですか?」

へびしゃん 「あれは私のオ・カ・ネよ。でも、電波犯罪はやってないわ。」

猫ちゃん 「しらを切るな。」

犬くん 「じゃあ言いたくなかったのですが、あなたの住むマンションは3畳一間。」

へびしゃん 「3LDKです。」

犬くん 「そう、サンエルデーケー。夫と息子の3人で暮らしている。玄関の正面の部屋にはコンピューターが置いてある。」

へびしゃん 「ええそうですが。勝手に入ったのですか?」

犬くん 「その、手前の左の寝室のたんすには、何が入ってますか。」

へびしゃん 「服ですが?」

犬くん 「いえ、違います。下から三つ目の引き出しには、服以外のものが入っていますね。」

へびしゃん 「いえ、何も入っていない。」と非常にあわてて首をふる。

犬くん 「私には秘密などできません。その白い錠剤を、三日前に飲みましたね。次々と近所が捕まり、その不安をまぎらわすために、夫との夜の楽しみ最中に。」

へびしゃん 「誰がちくったのですか!!」と言った後、しまったという顔をする。

犬くん 「ちくったのではない。私には何もかもがありのままに見えるのです。」

猫ちゃん 「やはりそうでしたか。」

へびしゃん 「はい。堪忍します。」

猫ちゃん 「もう楽になったらどうですか?」

犬くん 「私にはあなたの未来過去、そして時空を超えて運命のすべてが見えます。」

へびしゃん 「何もかも白状します。」

猫ちゃん 「電波やっていたな。罪を認めるな。」 へびしゃん 「・・・私、電波を飛ばしてました。」

猫ちゃん 「それでいいんだ。本当のことを全部言って、すっきりしろ。いつからやっていた?」

へびしゃん 「あれはそう。3年前の夏休みの今日のように暑い夜のこと。」

猫ちゃん 「いつなんだ。」

へびしゃん 「8月14日です。午後9時をすぎた時、突然辺りが暗くなり、」

犬くん 「やばいです。嫌な気配があります。」

へびしゃん 「家の前の夜道に誰かの通る足音が響き、カランコロン、カランコロン。」

犬くん 「何か得たいのしれないものが近づいてきます。」

へびしゃん 「だんだんその音が大きくなって、門の前でぴたりと止まった。ボーーンボーーンと呼び鈴が辺りの静けさを破るように不気味に鳴った。」

犬くん 「出ます。」

へびしゃん 「玄関にゆくと、ドアにぼんやりと映る黒い人陰が、一つ、二つ、三つ、四つ。」

犬くん 「えいっえいっえいっ。」何か封印する動作。 猫ちゃん 「どうしたんだ。」

犬くん 「成仏させてます。」

へびしゃん 「こんな深夜に誰かしらと恐る恐るドアを開けると、そこには、赤いポスターを掲げた家の、化粧の濃いおばさん二人と娘がそこに立っていた。雨が降っていないのに、娘の足元だけ水がたまっている。」

犬くん 「1人だけ人間ではありません。」

猫ちゃん 「誰だ?」

へびしゃん 「15番地の斉藤さんと、33番地の山口さんと、その後ろに2年前に消えた娘の早紀ちゃんです。」

猫ちゃん 「山口早紀か。あの子か。彼女は、まだ見つかっていないんだよ。」

犬くん 「いえ、彼女は真実を話しています。今は、川下にいます。」

猫ちゃん 「川下って。どこだよう。」

犬くん 「それは後で。」

猫ちゃん 「下駄の音は誰のだったんだ。」

犬くん 「見えない4人目です。斉藤さんのおじいちゃんです。」

へびしゃん 「おばんです(大きな声でごまかすように)と、あいさつがあり、」

猫ちゃん 「おぼんじゃないのか。」

へびしゃん 「玄関で話しました。彼女達は、近所のSについて右翼だの、宗教だのいろいろ話してくれ、危険人物だから、電波を当てて、懲らしめろと言います。」

猫ちゃん 「勧誘か。」

へびしゃん 「はい。その時、生まれて初めて無線機というものを見せられました。」

猫ちゃん 「どんな形だ。」

へびしゃん 「大型のトランシーバー型です。」 猫ちゃん 「そうか。今はどこにある?」

犬くん 「見える。見える。それはふすまの奥です。」

へびしゃん 「なぜわかるのです。早紀ちゃんがよく隠れている場所です。」

猫ちゃん 「そうか。取りに行ってもいいな。」

へびしゃん 「はい。私は人に電波を浴びせるのは悪いと思いましたが、犯罪ではないと言うのです。で、玄関で話すのもなんなので、家にあがらせました。早紀ちゃんが私の服のそでをひっぱり、大丈夫、とにっこり微笑みました。」

へびしゃん 「彼女達に、電波の飛ばし方も盗聴の仕方も教えてもらいました。盗聴器もしかけずに、盗聴できるのでびっくりしました。それに、会話だけでなく、考えたことも聞こえるのです。家の中のどこにいるかもわかるし、すごいです。」

へびしゃん 「絶対に捕まらない。アルバイトと思って気軽にやってみたら。と、それにいろいろ物品をくれるというので、やることにしました。」

猫ちゃん 「何をもらったんだ。」

へびしゃん 「文房具セットです。」

猫ちゃん 「どんな文房具セットだ。」

へびしゃん 「そこまで答えないといけないのですか。」

猫ちゃん 「捜査なんだ。早く答えろ」

へびしゃん 「仮面ライダーリュウキのです。」

犬くん 「ふっ古いな。今は、ファイブだ。」

猫ちゃん 「そんな安いものがほしくて、犯罪に走ったのか。情けない。」

へびしゃん 「ここで断ったら近所の仲間外れにされると思ったので。やることにしました。」

猫ちゃん 「近所づきあいと、法を守ることとどっちが大事なんだ。」

へびしゃん 「すいません。彼女たちに帰り際に、早紀ちゃんがみつかってよかったですね。と言うと、山口さんは、首をかしげていました。」

猫ちゃん 「山口早紀はもう死んだんだ。」

犬くん 「いえ、霊はぴちぴち生きてます。」

へびしゃん 「そして、無線機をもらって、毎日やりました。」 猫ちゃん 「1日何時間やったんだ。」

へびしゃん 「24時間です。スイッチをいれて、後は自動です。スイッチは止めたことはないから、時々、盗聴して楽しみました。」

猫ちゃん 「お前の電波のせいで、被害者はどんなに苦しくつらかったか。想像したことがあるのか。」

へびしゃん 「いえ。」 猫ちゃん 「お前には罪の意識がないのか。」

へびしゃん 「初めは罪の意識もありましたが、だんだんとなくなり、盗聴が面白くて、私の日課となりました。」

猫ちゃん 「1人でやったのか?誰か他に一緒にやってたのか。」

へびしゃん 「夫はしていません?夫には隠していました。」

猫ちゃん 「嘘をつくな。夫が知らないはずはないだろ。」

へびしゃん 「はい本当は、夫もしていました。夫は、ビールを飲みながらやってました。あー夫も職を失うわ。人生の破滅だわ。」

犬くん 「もう1人いるだろう。」

へびしゃん 「いえ、夫婦二人暮らしです。二人しかいません。」

犬くん 「嘘をつくな。女の子を感じるぞ。お前の隣にいただろう?」

へびしゃん 「実は、早紀ちゃんも時々やってきて、一緒に楽しくお話をしながら、やってました。すいません。」

猫ちゃん 「謝って済むなら警察はいらん。2度としないと約束するか。罪を償うか。」

へびしゃん 「はい。2度としません。私が悪うございました。」

猫ちゃん 「誰か電波を飛ばしていた近所の仲間がいるだろう。全部、言え。」

へびしゃん 「ええ、それだけは、許してください。それを言ったことがばれたら、あそこで住めなくなります。」

猫ちゃん 「それでも反省しているのか。名前を言ってみろ。」

へびしゃん 「私が言ったと言わないでくださいね。」

猫ちゃん 「心配するな。大丈夫だ。」

へびしゃん 「××、××、××、××。・・・・・・××。」

犬くん 「なんだペラペラしゃべるよ。」

猫ちゃん 「間違いないな。では、無線機は誰が配っていた?」

へびしゃん 「山口さんです。」

猫ちゃん 「そうか。よく白状してくれた。もう隠していることはないな。」

へびしゃん 「ありません。」

猫ちゃん 「じゃあ、調書を読み上げる。間違いがあったら、言えよ。」

犬くん 「むにゃむにゃ。以上。」

へびしゃん 「間違いはありません。」

猫ちゃん 「じゃ連れていけ。」

へびしゃん 俺の目の前を、手錠をかけられた女が首をうなだれて、恰幅のよい巡査だろうな。あの☆三つのワッペンは。に連行されていったよ。哀れだと思ったね。

猫ちゃん 「じゃ、次、入ってきて。」

へびしゃん 周囲を見渡すと俺しかいない。呼ばれたので入ってゆくと、

猫ちゃん 「お前か電波をやってたのは。」

へびしゃん 「俺はやってません。俺は関係ないよ。もう帰ってもいいですか。」

猫ちゃん 「今日は帰さないよ。まずは名前と住所を言ってみろ。」

3人で 「ありがとうございました。」

03-8-8 8-10 校正 2015/4/20

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